令和5年 1月10日(火)
生徒のみんなが元気に登校しました。今年も頑張りましょう!
【以下は、校長講話の一部です】
さあ、新春の漢字クイズです。世界最多の画数の漢字は何画ですか? 世界最少の画数の漢字は「一」と何という漢字ですか?
すごいッ、正解がすぐに飛び出したので、これから本題に入ります。
さて、今回のお話のテーマは「学ぶ(言葉を増やす)ことで、視野(考え方)が広がり、生きやすくなる」というものです。
まず、見方や考え方を変える方法として、「リフレーミング」を紹介します。短所に思われるスライドの赤字の性格を、緑字のように長所に言い換えてみましょう。自分の短所は「緊張しやすい」と思っている人は、大丈夫!リフレーミングすると、「物事を真面目にとらえる」と言い換えることで、長所に考えることができます。
同じ性格でも「緊張しやすい」とマイナスにとるか、「真面目」とプラスにとるかでは大きな違いがあり、考え方によっては短所も長所になるのです。
次に、色の違いを例にして、他人との感じ方の違いを確認してみましょう。A~Gの記号の中で、あなたが「あか色」に感じ始める記号はどれですか?
実はこれらすべてが赤色に属する色なのです。Gの「東雲色(しののめいろ)」は、東の空に朝日が昇る雲間から見える光線の色とでも言いましょうか、黄色味がかった赤色なのです。世界の中ではA~Gまでをひとくくりに「RED」と表現することもあるそうですが、四季のある豊かな自然に囲まれた日本では、微妙な色調を自然界の名前を使って表しています。
このことから、ひと口に「あか色」と言っても、人は経験や環境によって感じ方が違い、思い浮かべる色も異なるということを伝えたいのです。
怒った時に思わず、相手を攻撃する言葉を吐きます。そんな時、見方を変えることができたり、自分の中に怒りのレベルを表す言葉をいくつか知っていたりすれば、なんでもかんでも殺意を表す極め付けのひと言にはならないはずです。リフレーミングも感じ方のグラデーションもそれを教えてくれています。
ちょっとここで休憩です。友達関係で悩んでいる人は、リフレーミングの手法で次のスライドの言い換えができますか? プラスに言い換える言葉は一つだけではありませんよ。
リフレーミングで厳しい現状のとらえ方を変えることができます。このことができるのも、「言葉による力」があってのことと私は考えています。
言葉の力を増したいなら、やはり読書をすすめます。一番効果があるのは、授業で言葉の意味を確認しながら読む「精読(せいどく)」です。
次のスライドは、読みの種類とその効果を整理したものです。
本に親しむなら、「積ん読(つんどく)」もありかもしれません(笑)。文字通り、買ったけれど読まずに本棚に積んで置くというものです。少なくとも買うときには作者名か、題名かにひかれているはずです。いつか読むことを期待して本棚に置いておくというのが、この「積ん読」です。
私の「積ん読」の一冊を紹介します。瀬戸内寂聴さんの『無常を生きる』という本です。
私がこの本を買ったのは、東日本大震災で日本全体がどん底に喘(あえ)いでいた時です。寂聴さんは「『無常』ってことは、変わらないものはないってことでしょう。だったら、いつまでもこんな辛いことや苦しいことばかりは続きませんよ」と、人々を法話で励ましていたことを思い出したからです。これまで「無常」とは「むなしく消えてゆくもの」と考えていましたが、このように「悲しみや苦しみもぶっ飛ばす無常」もあるものだと、逆転の発想に驚きました。言葉は人を殺すことも活かすこともできると感じた瞬間でした。
この本の表紙の題名を見るたびに、言葉に力を込めて語りかけていた寂聴さんの姿を思い出し、私は元気になれるのです。
学ぶことは、言葉を多く知るということです。そのためにも授業を大切にしてください。
言葉を多く知ることで、今までにないものの見方ができたり、考え方ができたりします。そのためにもしっかり授業に出てください。
大げさかもしれませんが、そうなれば、もっと生きるのが楽になると思います。
「学ぶことで楽生(らくしょう)!」と、なりませんか。